2015年3月21日土曜日

女2



標高2000メートルに20キロの大ゴルジュを形成する台湾・マホラシ渓谷、登山人生の中でも屈指の難渓だった。写真は、凍えながら急流を泳ぎ、滝の裏側に回り込んだのち、アブミという縄梯子をつけたハンマーを投げ、岩に引っ掛けたハンマーをたよりに空中に浮かんだ縄梯子を忍者のごとく登り、滑った岩の僅かな突起を頼りに尋常ならざる水圧に耐えながら滝の表側に回り込み、ジョジョ2部での波紋修行で、人体を切断するような高圧の油の吹き出る塔を、プラスとマイナスの波紋を駆使しながらよじ登るシーザーのような登攀をしている舐め太郎だ。

それはさておき、女性の性欲に関することで、重大な事実が見つかった。35歳のある女性から衝撃の報告があったのだ。
「オナニー?そりゃしてますよ。頻度と言われても困るけど、やるときは毎日もするし、やらないときは一月しないこともある。女性の何割がやってるかですって?95パーセントはやってるんじゃないですか。女性同士でそういう話はあまりしないし、確証はないけど・・・」
北欧の歌姫こと性欲チャンピオンのビョークだけが、ビタミン剤と間違えて媚薬を飲んでいる訳ではなく、女性とは本来、性欲の塊だというのだ。女は男と違ってムラムラなどしないという、A氏による女性の清廉は根源説は儚くも打ち砕かれた。

疑問に思った私は、30代の3人の知人独身女性に「オナニーしてる?頻度はどれくらい?男を性的に求めたくなることある?」という、いま読み返しても変質者としか思えない質問をメールで送った。セカンド童貞状態の私にとって、数少ない女性の知人を失うリスクのあるこの行為は、死を覚悟したマホラシ渓谷への挑戦よりも覚悟が必要だった。

1通だけ、返信があった。
「うーん、ひとりではしないですね。性的に相手を求めたくなるのも年に1~2回かな」
3戦全敗を覚悟していただけに、この返答は嬉しかった。こいつ、ひょっとして口説けばやれるんじゃないかと思い、勃起をしてしまった程だ。ただ、私の期待していた返答は「毎日やってますよ~。男を作ると面倒だから今はいないけど、ムラムラするし、そしたらオナニーしますよ。どうやるかまでは答えないけどね!」であり、内容の信憑性に疑問をもった。

結局のところ、この手のアンケートというのは信憑性が著しく低い。週刊誌によくある初体験はいつですか?というアンケートで、男性の方が女性より初体験が早いということがあるが、男と女のセックスへのハードルの高さを考えれば“んなわけねーだろ!”と思うのが男子全員の共通認識かと思う。実際、私が高校生の頃、あきらかに童貞なのに性豪のようにふるまう男子がいかに多かったことか……。
 女性からしてみても、性に奔放というのは淑徳の観念から言いづらいものかと思う。性欲チャンピオンのビョークや、AV女優、性産業に関わる女性にとってはそれがプラスに機能するかもしれないが、いささか変わってきたとはいえ、キリスト教的な清廉思想が根強く支配する現代社会において、「私はヤリマンで、毎日オナニーします」と答える女性は少ないだろう。

この答えを正しく見つける為には、独裁者となって性に対する倫理観を根本から変え、性をさらけ出せるようにしていくか、求道者のごとくヤリチンになり、多種多様な女とセックスし、結婚離婚を繰り返し、女性の本性を暴くしかないのではないかという結論に落ち着いた。

私に対し、なんでそんな苦しい思いをして登山しているのですか?と問われれば、有名になってモテモテになり、ヤリチンになって、いっぱいセックスをして、女のオナニーについて本音で聞きたい。と、いうことになる。

ただし、それには問題があった。いくら凄い山を登ったとしても、モテるのは明朗快活なただしイケメンに限り、山だけじゃ女にモテないということが薄々分かってきてしまったのだ。今更引き返せないので、意地を張ってまだ山を続けているが、このモチベーションがいつまで続くか分からず、エグザエル的に日焼けサロンに通った方がいいのではないかという葛藤に飲み込まれそうになっている。

行動の動機とは、皆が期待する清潔なものではなく、概ね、性欲と自己顕示欲からなる。





20歳の頃に、“女のオナニー48手”を出版社に持ち込み、企画が進んだ直後に出版社が倒産しお蔵入りになった経験がある舐目太郎より。

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